
土地を相続すると相続税がかかりますが、農地の場合、一定の要件を満たすことで相続税の納税が猶予される制度があります。
これを「農地等の納税猶予の特例」といいます。
特例を受ける農地のことを「特例農地」と言い、猶予される税額のことを「農地等納税猶予税額」と言います。
この特例を受けるためには、被相続人(亡くなった方)、相続人、それぞれが要件をみたしていなければなりません。
特例を受けるためには被相続人は以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
農業を営んでいたかどうかは、耕作行為を反復継続して行っていたかどうかで判断されます。耕作した生産物を自分で消費している場合や、会社、官庁等に勤務しているなどであっても耕作を反復継続していた場合は、農業を営んでいた人に該当します。
また、死亡の日まで農用を営んでいない場合でも、老齢または衰弱のため、生前に住居および生計を一にする2親等内の親族に農業経営を継いでいた場合も農業を営んでいた者に含まれます。
特例を受けるための相続人の要件は以下の通りです。
相続税の納税猶予の特例の適用を受けることのできる相続人は、相続税の申告の提出期限までに相続または遺贈により対象農地等を取得し、農業経営を開始し、その後引き続き農業経営を行うと認められるもので、農業委員会の証明を受けた者となります。
相続税の納税猶予の特例の適用を受けるために、農業委員会からもらう証明書のことを「相続税の納税猶予うに関する適格証明書」といいます。
この適格証明書を発行してもらうには、農業委員会に対して申請をする必要があります。
多くの農業委員会では、証明書の発行申請 → 現地確認 → 農業委員会による決議を経て証明書が発行されます。
申請から発行までの期間は1カ月以上かかる場合もあるため、申告期限の3カ月前までには適格証明書の申請をするようにしましょう。
また、申請までに特例農地について分割協議を終わらせておく必要もあります。
証明書発行の際に必要となる書類は各農業委員会によって違いがありますので、事前に確認が必要ですが、主なものとしは以下ような書類が必要となります。
納税猶予税額を納付しなければならなくなることを、猶予期限の確定(猶予の取消)と言います。
猶予期限が確定してしまうと、猶予されていた税額の全部または一部を納付しなければなりません。
猶予期限の確定となるケースは以下のような場合です。