農地法以外による農地の貸し借りの方法
ツイート農地を所有する農業者が引退したい場合や死亡してしまった場合には後継者がいてもすぐに就農しないときは、就農するまでの間、農地を放置しておくわけにはいきません。
そのようなときには、農地を一時的に他者に貸すことが考えられます。
農地の売買や貸し借りといった、権利の移転や権利設定が発生する場合には通常農地法3条の許可が必要です。
農業者の中には、「農地を一度貸すと返ってこない」として貸すことをためらう人もいます。これは、農地法により農地を賃貸借すると、契約が自動更新され(農地法17条)、また解除等するためには都道府県知事の許可が必要になるため(農地法18条)、事実上長期間農地が返還されなくなるためです。
この農地法によらない、農地の貸し借りをする方法があります。それが
「都市農地貸借円滑化法による貸し出し」「農地中間管理機構(農地バンク)による貸し出し」です。
これらの方法を使えば、農地法の許可不要、貸借期間が法定更新(農地を貸すと返ってこないと言われる所以)されることもありません。
都市農地貸借円滑化法による農地の貸し出し
都市農地貸借円滑化法は、市街化区域の農地のうち「生産緑地」を安心してい貸借できる仕組みを定めています。
貸主と借主の間で賃貸借の契約書を作成します。
借主が作成した事業計画について市町村長の認定を受ければ、農地法の許可なく農地の貸し出しができるようになります。
都市農地貸借円滑化法による貸借は、期間が限定されており更新がありません。農地法3条による貸し借りのように解約に許可が必要になることもありません。
また、相続税納税猶予制度を受けている農地を貸す場合、原則として納税猶予は打ち切りとなりますが、都市農地貸借円滑化法の適用を受ける生産緑地では、納税猶予を受けたままで農地を貸すことができます。
農地中間管理機構(農地バンク)による貸し出し
農地中間管理機構(農地バンク)による農地の貸し借りを行う方法もあります。
農地中間管理機構(農地バンク)とは、法律に基づき都道府県から指定されます。農地の貸付けを希望している農家(地主)の農地を集積し、地域の中心となる担い手(地域計画・目標地図に記載された方)に貸し出すため、都道府県に1つ設置されている公的な機関です。
農地バンクに貸し出すことができる農地は、市街化区域外の農地に限られています。どんな農地でも貸し出すことができるわけではなく、条件によっては貸し出しできないこともあるようです。
貸出期間は10年程度になります。また、貸付け先が見つかるまでは農地の管理は自分で行わなくてはなりません。
農地バンクから借り受けをしたい場合は、地域計画・目標地図(地域の協議により、誰にどの農地を任せるのかを図示したもの)に記載される必要があるので、役所の窓口などで相談するようにしましょう。